源ノ明朝をいろいろなフォントと縦組みで比較してみた
先日、Adobeから源ノ明朝というフリーの明朝体フォントが公開されました。
これは縦組みで電子書籍を読むのにちょうどいいのではないかと思い、いろいろなフォントと比較してみました。
比較したフォント
ちなみにSource Han Serifは源ノ明朝の別名で全く同じものです。Noto Serif CJKはGoogle版で実質同じものですが、太さのバリエーションが名前だけ変わっています。
入手方法
源ノ明朝はここで公開されています。
GitHub - adobe-fonts/source-han-serif at release
https://github.com/adobe-fonts/source-han-serif/tree/release
どれをダウンロードしたらいいのかわからない人は「Region-specific Subset OTFs」の「Japan」だけで十分です。
それ以外は特殊なソフトじゃないとフルに使えません。
Noto Serif CJKは何か所も公開されていますが、オススメはここです。
Noto CJK – Google Noto Fonts
https://www.google.com/get/noto/help/cjk/
どれをダウンロードしたらいいのかわからない人は「Region-specific Subset OpenType/CFF (Subset OTF)」の「NotoSerifJP-[weight].otf」だけで十分です。
それ以外は特殊なソフトじゃないとフルに使えません。
では、比較に入ります。
源ノ明朝 Light
源ノ明朝 Regular
源ノ明朝 Medium
リュウミンR
ヒラギノ明朝 W3
IPAex明朝
IPA明朝
MS 明朝
游明朝
比較画像について
本文は青空文庫にあった宮沢賢治の銀河鉄道の夜を使用しました。
銀河鉄道の夜 / 宮沢賢治(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html
組版には威沙(いずな)を使用しました。
威沙(いずな)
http://tokimi.sylphid.jp/
ソフトの都合で半角英数字(ページ番号とfromの文字)は別のフォントが使われています。
源ノ明朝だけ文字化けしたのでフォントファイルをOTFからTTFに変換して対応しました。
クリックしたら大きな画像が表示されます。
個人の感想
フリーフォントのIPAex明朝とIPA明朝は文字が丸っこくて柔らかい印象が強すぎるため、小説に使うと違和感がありました。源ノ明朝もやや丸っこい文字で柔らかい印象がありますが、違和感は少ない気がします。
ただ、本文2行目の「承知」の「承」の最後の右払いの太さを見ると、リュウミンとヒラギノ明朝の方がメリハリがしっかりしてるのがわかると思います。こちらの方がいかにも小説向きなフォントな感じがします。
源ノ明朝はフリーフォントの中では現時点で最も書籍向きのフォントだと思います。
有料フォントには劣りますが、有料フォントはライセンスの問題でスマホやタブレットにインストールできなかったりするので、源ノ明朝の方が使い勝手はいいでしょう。
また、源ノ明朝は太さのバリエーションが豊富です。通常、小説などの本文にはLightかRegularを使いますが、解像度の低い(低DPIな)環境ではMediumが読みやすかったりします。自分の環境に合わせて太さを選べることも、源ノ明朝の良い所だといえます。
問題点
問題点として、ソフトが源ノ明朝に対応しているのか、という点があります。源ノ明朝はちょっと珍しい構造のOTFなので、ソフトによっては文字化けします。私はプログラマということもあって、OTFをTTFに変換するスクリプトが書けましたが、普通の人はそこまでできないと思います。
私がTTFバージョンを配布することも考えたのですが、源ノ明朝のライセンスはSIL Open Font Licenseとなっており、修正を加えたフォントの名前にオリジナルの名前を含めてはいけないというルールが定められています。このルールは、中身はほとんど同じなのに名前だけ違うフォントの乱立を招きます。そういった事態を避けるためにも現時点では私からは配布しません。